被相続人が「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」を選択した場合、相続発生後、家庭裁判所にて遺言書の「検認」という手続きを行わなくてはなりません(ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除きます)。
検認を行うのは、遺言書の存在とその内容を相続人に知らせるとともに、遺言書の偽造や変造を防止する必要があるからです。
検認は、遺言書の保管者もしくは遺言書を発見した相続人が、遺言者(被相続人)の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てることになります。
検認を行わなくてはならない場合に、その申し立てをしなければ、5万円以下の過料を科せられます(民法1005条)。のみならず、遺言書があることをわかっていながら意図的に検認をせずに放置したような場合には、遺言書を隠匿したとみなされる可能性があります。その場合、秘匿した相続人は、相続資格を失うこともあるのです。そのようなトラブルを避けるためにも、検認が必要なケースでは、必ず管轄の家庭裁判所にすみやかに検認の申し立てを行うようにしてください。
ここで注意すべきは、検認を済ませたからといって、遺言の効力が法的に確定するわけではないということです。検認は、相続人に対し遺言書があることを知らせ、その内容を確認するために行うのであって、法的効力を持つことが証明されるわけではありません。内容について納得できない場合には、遺言内容について別途相続人間で話し合う、それでも合意に至らない場合には、裁判所に調停や訴訟を起こすなどの対応をする必要があります。
事前に相続人間のトラブルを防ぐためにはどうしたらよいのか、納得できない遺言書が出てきた場合にはどのような対応が可能なのか、このようなお悩みをお持ちであれば、ぜひ専門家にご相談ください。
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